突然の事故と、植物状態になった母
「2019年の冬のことです。当時80代だった母が、茨城県内で脇見運転の車にはねられました。事故の影響で母は植物状態となり、意識が戻ることはありませんでした」
そう語るのは、被害に遭われたお母様の息子であるTさんです。事故から約1年半後、お母様は介護の甲斐なく亡くなってしまいました。
突然の死と、理不尽な「賠償金ゼロ」提示
お母様が亡くなり、悲しみに沈むTさんのもとに、加害者側の弁護士から一通の書類が届きました。
「母が亡くなった途端、慰謝料の算定方法が変わりました。『死亡原因は事故と直接関係ない』という理由で、もともと認められていた後遺障害慰謝料から死亡慰謝料に切り替えられ、800万円ほど減額するという内容でした」
さらに、すでに支払われていた自賠責保険金を差し引くと、賠償額はマイナスになるという計算でした。
「『過払い分はこちらも請求しませんので、これで終わりです』と。つまり、追加の支払いは一切ない、というわけです。母の命の値段がこんな形で決められてしまうのかと、悔しくてたまりませんでした」
弁護士への依頼と、300万円の獲得
実質「賠償金ゼロ」という非情な提示に納得できなかったTさんは、弁護士に相談することにしました。
「何人かの専門家に聞いても良い返事はもらえませんでしたが、依頼した弁護士さんだけは『後遺障害慰謝料として請求すべき』と明確に言ってくれました。すぐに依頼をお願いしました」
弁護士は、相手方に対し、死亡に至った経緯を踏まえれば後遺障害慰謝料が支払われるべきだと強く主張。交渉は平行線をたどりましたが、弁護士は粘り強く交渉を続けました。
「最終的に、解決金として300万円を支払わせる内容で示談をまとめてくれました。相手からの提示は実質ゼロ円だったのですから、これは私たち家族にとって大きな勝利でした。専門家に任せて本当に良かったです」
複雑な賠償問題で悩んでいるご遺族の方へ
「死亡事故の賠償問題は、本当に複雑です。相手方の弁護士は、自分たちに有利な理屈を並べてきます。それを鵜呑みにしていたら、私たちは一円も受け取れずに泣き寝入りしていたかもしれません。おかしいな、納得できないな、と感じたら、すぐに自分の味方になってくれる弁護士を探すべきです。それが、亡くなった家族の無念を晴らすことにも繋がると思います」