会社の指示で起きた悲劇
都内の飲食店に勤務していたIさん(50代・女性)。ある年の春、会社の指示がきっかけで、その後の人生を左右する事故に見舞われます。
「別店舗での説明会に行ったら、上司から突然『キッチンに入って調理して』と命令されたんです。安全靴も持っておらず、5センチほどのヒールを履いたままでした。案の定、厨房で滑って転んでしまい、右肘をひどく脱臼してしまいました」
この事故でIさんは右肘の靭帯も損傷し、2度の手術と約15日間の入院を余儀なくされました。
後遺症の苦しみと会社の不誠実な対応
懸命な治療もむなしく、事故の翌年の夏に症状固定となりましたが、Iさんの右肘にはしびれや痛みが残りました。後遺障害等級12級6号が認定され、精神的にも追い詰められてうつ病を発症してしまったといいます。
「会社に『安全な靴も用意させず、無理に厨房へ入らせた会社の責任では?』と話したのですが、まったく認めてくれませんでした。労災は認定されましたが、会社としての責任を認めてもらえないことが、本当に悔しくて…。痛みも残っているし、この先どうなってしまうのか不安でたまりませんでした」
友人の勧めで、Iさんは弁護士への相談を決意します。
弁護士への依頼と示談交渉のゆくえ
事故から約3年が経過した冬、Iさんは弁護士に会社への損害賠償請求を依頼しました。
「弁護士さんがすぐに会社側と交渉を始めてくれました。相手にも弁護士がつきましたが、会社の安全配慮義務違反を強く主張してくださったんです」
交渉の結果、会社側は非を認め、裁判に至ることなく示談が成立。Iさんの過失が一部考慮されたものの、会社側の責任が大きく認められる結果となりました。
「後遺症が残ってしまったことは変わりませんが、会社が責任を認めてくれたことで、ようやく気持ちに区切りをつけることができました。専門家にお願いして本当に良かったです」
同じ状況で悩んでいる方へのメッセージ
「私のように、勤務中の事故で会社が責任を認めてくれないケースは少なくないと思います。一人で抱え込んでいると、精神的にもつらくなってしまいます。痛みや後遺症が残っているのに、泣き寝入りするのは絶対におかしいです。少しでもおかしいと感じたら、勇気を出して弁護士さんに相談してみてください。きっと力になってくれるはずです」