事故で植物状態になった母
「2019年の冬、当時80代だった母が交通事故に遭いました。茨城県内の市道を歩行中、脇見運転をしていた車にはねられたんです」
Tさん(息子様)は、静かに語り始めました。
「母は頭を強く打ち、意識が戻らない植物状態、いわゆる遷延性意識障害と診断されました。あんなに元気だった母が、一瞬にして…。加害者はその後、刑事裁判で有罪判決を受けましたが、それで母が元に戻るわけではありません」
突然の母の死と、相手方からの非情な通告
事故から約1年半、Tさんたちは懸命に介護を続けましたが、2020年の夏、お母様は肺炎をこじらせ、静かに息を引き取りました。
「長い寝たきり生活で体力が落ち、肺炎のリスクが高いとは主治医から聞いていました。それでも、あまりに突然のことで…。悲しみに暮れる中、追い打ちをかけるように加害者側の弁護士から連絡が来たんです」
その内容は、Tさんの怒りを買うものでした。
「『お母様が亡くなった直接の原因は事故ではなく肺炎なので、慰謝料は後遺障害に対するものではなく、死亡に対するものになります』と。それによって慰謝料が大幅に減額されるという、あまりに理不尽な主張でした。母がなぜ肺炎になったのか、その原因を無視した言い分に、言葉を失いました」
弁護士への相談と、母の尊厳を取り戻すための戦い
Tさんは途方に暮れました。複数の専門家に相談しても「死亡慰謝料になるだろう」という厳しい見解ばかりだったからです。
「そんな時、ある弁護士さんだけが『事故と死亡には因果関係があるとして、後遺障害慰謝料を請求すべきです』と言ってくれたんです。まさに希望の光でした」
すぐに依頼を決めたTさん。弁護士は、相手方弁護士の「死亡は事故と無関係」という主張に対し、事故がなければ寝たきりになることも、肺炎になることもなかったと粘り強く反論しました。
「相手の主張は手強く、交渉は難航しました。それでも弁護士さんは諦めず、母の尊厳を守るために戦ってくれました。最終的には、私たちの主張が一定程度認められる形で、解決金が支払われることになりました。本当に感謝しています」
家族を亡くされた悲しみの中で戦う方へ
「事故で家族を亡くしただけでも辛いのに、その上でお金の話で理不尽な思いをするのは、本当に耐えがたいことです。私たちの場合、専門家の間でも意見が分かれる難しい状況でした。でも、諦めずに私たちの主張に耳を傾け、最後まで戦ってくれる弁護士さんに出会えたことで、救われました。同じように苦しんでいる方がいたら、絶対に一人で抱え込まず、納得できるまで相談してほしいです」