帰宅途中の悲劇、突然の追突事故
ある年の冬、Sさん(40代・男性)の日常は、突然の事故によって打ち砕かれました。
「福岡県内の道を歩いて帰宅していたら、いきなり後ろから車にはねられたんです。救急車で運ばれ、額と後頭部を何針も縫う大怪我でした。全身打撲もひどく、まさか自分がこんな事故に遭うなんて、本当に信じられませんでした」
Sさんは2日間入院し、退院後も約1年半にわたって整形外科や耳鼻科への通院を余儀なくされました。懸命な治療にもかかわらず、顔には痛々しい傷跡が残り、めまいや耳鳴りといった症状にも悩まされ続けました。
消えない傷跡と耳鳴り、そして保険会社の非情な判断
治療を続けても症状が改善しなかったため、Sさんは後遺障害の認定手続きを行いました。結果は、顔の傷跡(醜状障害)について12級14号が認定されたものの、Sさんを苦しめていた耳鳴りなどの症状は、事故との因果関係が不明であるとして非該当とされてしまいます。
「事故当初からめまいや耳鳴りを訴え、医師の紹介で専門の耳鼻科に通っていたのに、『治療開始が遅いから因果関係が不明』と言われ、到底納得できませんでした。顔の傷が残っただけでもショックなのに、他の症状は無かったことにされてしまったようで、本当に悔しかったです」
追い打ちをかけるように、保険会社の対応はSさんの心をさらに傷つけました。
弁護士と共に勝ち取った正当な評価
保険会社の対応に強い不信感を抱いたSさんは、弁護士への相談を決意します。
「営業職の私にとって、顔の傷は仕事にも影響します。そのことを訴えても、保険会社は全く聞き入れてくれませんでした。そこで、父の自動車保険に付いていた弁護士特約を使い、交渉を依頼することにしたんです」
弁護士は、顔の醜状がSさんの営業という仕事に与える不利益(逸失利益)を粘り強く主張。交渉は難航し、最終的に紛争処理センターでの話し合いにまで発展しましたが、その結果、保険会社が当初認めなかった逸失利益が認められることになりました。
「弁護士さんが専門的な視点から根気強く交渉してくれたおかげで、ようやく私の苦しみが正当に評価されたと感じました。一人では絶対にここまでできませんでした」
納得できない提示に泣き寝入りしないで
「保険会社から『これが決まりです』と言われると、そういうものかと諦めてしまいがちです。でも、私の経験から言えるのは、その判断が必ずしも正しいとは限らないということです。特に、後遺症が将来の仕事や生活にどう影響するかといった点は、個人で主張してもなかなか認めてもらえません。少しでも疑問や不満を感じたら、泣き寝入りする前に、一度専門家である弁護士さんに相談することをおすすめします」